ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期予防接種


ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮頸がんの主な原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。

平成25年4月1日から定期予防接種に位置付けられましたが、接種後にワクチンとの因果関係を否定できない持続的な痛み等の副反応が報告され、厚生労働省は平成25年6月14日に同じような副反応の発生頻度等が明らかになるまでの間、積極的な接種勧奨を差し控えるよう全国の自治体に勧告しました。この勧告を受け、串本町でも対象者へ個別にご案内をお送りすることを取りやめました。

その後、令和3年11月26日に厚生労働省から、最新の知見を踏まえ、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められることから、積極的勧奨の差し控えを終了し、対象者への個別勧奨を再開するよう全国の自治体に通知がありました。
この通知を受けて、串本町でも令和4年度から、対象者への個別通知による接種勧奨を再開しています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は特殊なウイルスではなく、女性の多くの人が一生に一度は感染し、その一部が子宮頸がんを発症します。200種類以上の遺伝子型があるHPVの中で、子宮頸がんの原因となるタイプが少なくとも15種類あることがわかっています。

HPVに感染すること自体は特別なことではなく、性交経験がある女性であれば誰でも感染する可能性がありますが、子宮頸がん発症にまで至るのは稀です。HPVに感染すると、ウイルスが自然に排除されることもありますが、そのままとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると前がん病変を経て子宮頸がんが発症すると考えられています。

子宮頸がんは若い年齢層で発症する割合が比較的高いがんです。患者さんは20歳代から増え始め、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人います。日本では、25~40歳の女性のがんによる死亡の第2位は、子宮頸がんによるものです。

子宮頸がんの一部は、HPVワクチンの接種により予防できますが、すべての型の感染を防ぐことはできません。子宮頸がんを早期に発見し治療するために、20歳になったら、必ず定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

効果(ベネフィット)

日本において接種できるワクチンは、防ぐことができるヒトパピローマウイルス(HPV)の種類(型)によって、サーバリックス(2価ワクチン)、ガーダシル(4価ワクチン)、シルガード9(9価ワクチン)の3種類です。
このうち、サーバリックス(2価)とガーダシル(4価)は従来より定期接種として公費で受けることができましたが、新たにシルガード9(9価)が令和5年4月1日より定期接種の対象となり、公費(無料)で接種できるようになりました。

サーバリックス(2価)およびガーダシル(4価)は、子宮頸がんの原因の50~70%を占める16型と18型の感染を防ぎます。また、シルガード9(9価)は、16型と18型に加え、ほかの5種類(31型、33型、45型、52型、58型)の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。またHPVワクチンで、がんになる手前の状態(前がん病変)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることもわかってきています。HPVワクチンの接種を1万人が受けると、受けなければ子宮頸がんになっていた約70人ががんにならなくてすみ、約20人の命が助かると試算されています。

リスク

一方で、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種後には、多くの方に、接種部位の痛みや腫れ、赤みなどが起こることがあります。まれですが、重いアレルギー症状(呼吸困難やじんましん等<アナフィラキシー>)、神経系の症状(手足の力が入りにくい<ギラン・バレー症候群>)、頭痛・嘔吐・意識低下(急性散在性脳脊髄炎)が起こることがあります。

発生頻度

サーバリックス(2価)

ガーダシル(4価)

シルガード9(9価)

50%以上

注射部位の痛み、赤み、腫れ、疲労感

注射部位の痛み

注射部位の痛み

10~50%未満

かゆみ、腹痛、筋痛、関節痛、頭痛など

注射部位の赤み、腫れ

注射部位の腫れ、赤み、頭痛

1~10%未満

じんましん、めまい、発熱など

頭痛、注射部位のかゆみ、発熱

浮動性めまい、悪心、下痢、注射部位のかゆみ・内出血、発熱、疲労など

1%未満

注射部位の知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力

下痢、腹痛、四肢痛、筋骨格硬直、注射部位の硬結(しこり)・出血・不快感、倦怠感など

嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、注射部位の出血・血腫・硬結(しこり)、倦怠感など

頻度不明

四肢痛、失神、リンパ節症など

失神、嘔吐、関節痛、筋肉痛、疲労など

感覚鈍麻、失神、四肢痛など

因果関係があるかどうかわからないものや、接種後短時間で回復した症状を含めて、HPVワクチン接種後に生じた症状として報告があったものは、接種1万人あたり、サーバリックス(2価)またはガーダシル(4価)では約9人、シルガード9(9価)では約3人です。このうち、報告した医師や企業が重篤と判断したものは、接種1万人あたり、サーバリックス(2価)、またはガーダシル(4価)では約5人、シルガード9(9価)では約3人です。

接種対象者

接種当日に串本町の住民基本台帳に記録されている小学6年生(12歳となる日に属する年度の4月1日)から高校1年生相当(16歳となる日の属する年度の3月31日)の女子

※接種をお勧めする年齢(標準的な接種年齢):中学1年生
※接種対象者には、個別通知を順次お送りしていますが、標準的な接種年齢前の小学6年生には通知をしておりません。標準的な接種年齢の前に接種を希望される方は子育て世代包括支援センターへお問い合わせください。
※平成18年4月2日~平成20年4月1日生まれの方は、上記の接種対象年齢を超えても、令和7年3月末まで公費で接種することができます(キャッチアップ接種)。

接種期間

高校1年生相当の3月31日まで

ワクチンの種類と標準的な接種スケジュール

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、これまで2種類のワクチンが定期接種として認められていましたが、令和5年4月1日からシルガード9(9価ワクチン)が定期接種の対象となり、公費(無料)で接種できるようになりました。
接種回数は原則3回ですが、シルガード9(9価)は小学6年生~15歳未満の方のみ、標準の接種回数は2回接種となります(3回を選択することも可能です)。
3種類いずれも、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。

厚生労働省作成リーフレット ※令和6年2月改訂

種類

サーバリックス

(2価ワクチン)

ガーダシル

(4価ワクチン)

シルガード9

(9価ワクチン)

対象年齢

・小学6年生(12歳となる日に属する年度の4月1日)から高校1年生相当(16歳となる日の属する年度の3月31日)の女子

・平成9年4月2日~平成20年4月1日生まれの女性

2価と同じ

2価と同じ

小学6年生~15歳未満の女子(15歳の誕生日の前日までに初回を接種)

接種回数

3回

3回

3回

2回または3回

標準的な接種間隔

2回目は初回から1か月後、3回目は初回から6か月後(※1)

2回目は初回から2か月後、3回目は初回から6か月後(※2)

4価と同じ

 

【2回接種】

2回目は初回から6か月後(※3)

【3回接種】

2回目は初回から2か月後、3回目は初回から6か月後(※2)

※1 規定どおりに接種できない場合、2回目は少なくとも初回から1か月以上、3回目は初回から5か月かつ2回目から2か月半以上の間隔をあけること

※2 規定どおりに接種できない場合、2回目は少なくとも初回から1か月以上、3回目は2回目から3か月以上の間隔をあけること

※3 規定どおりに接種できない場合、2回目は少なくとも5か月以上とし、5か月未満で2回目を接種した場合は、合計3回接種とする。この場合、3回目は2回目から3か月以上の間隔をあけて接種すること

サーバリックス(2価)またはガーダシル(4価)との交互接種について

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種は、原則、過去に接種歴のあるワクチンと同一の種類のワクチンで実施します。しかし、サーバリックス(2価)またはガーダシル(4価)で規定の回数の一部を完了し、シルガード9(9価)で残りの回数の接種を行う交互接種については、実施して差し支えないこととしています。

世界保健機関(WHO)や諸外国の保健機関においても、基本的には同じ種類のワクチンでの接種が推奨されています。しかし、やむを得ない場合には、交互接種も許容されています。また、令和5年3月時点において、交互接種における免疫原性や安全性に関する懸念は報告されていません。接種にあたっては、医師と十分な相談をした上で実施してください。

サーバリックス(2価)またはガーダシル(4価)で接種を開始し、シルガード9(9価)で接種を完了する場合は、シルガード9(9価)の接種方法に合わせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上あけて接種します。また、キャッチアップ接種の対象者についても、交互接種を実施して差し支えありません。

  • 送付された予防接種依頼書・予診票(事前に必要事項を記入して医療機関へお持ちください)
  • 母子健康手帳
  • 健康保険証

接種を希望する方は、必ず医療機関へご予約のうえ、来院してください

医療機関名

住所

電話番号

くしもと町立病院

串本町サンゴ台691-7

0735-62-7111

榎本クリニック

串本町西向122-3

0735-72-3530

新宮市立医療センター

新宮市蜂伏18番7号

0735-31-3333

注意)上記以外の県内医療機関でも接種可能な医療機関がありますので、お問い合わせください。

厚生労働省作成リーフレット ※令和5年3月改訂

積極的勧奨が差し控えられていたことにより接種の機会を逃した方への救済措置として、公費(無料)による接種機会を提供しています。
対象者の皆様には、令和4年6月に、ワクチン接種のご案内、厚生労働省作成リーフレット(平成9年度生まれ~平成17年度生まれまでの女性へ大切なお知らせ)をお送りしました。転入や任意接種などにより町に接種履歴がない方がおり、規定回数(3回)以上の接種を避けるため予診票はお送りしていません。
接種の仕方や注意事項は、基本的に定期接種対象者と同じです。接種の前に、ご本人とご家族でリーフレットを必ずお読みください。ワクチンの有効性とリスク等を十分にご理解いただいた上で、接種を希望される場合は、依頼書・予診票を発行しますので、子育て世代包括支援センターまでお問い合わせください。

また、令和5年4月1日より、シルガード9(9価ワクチン)も公費(無料)で接種ができるようになりました。

接種対象者

接種当日に串本町の住民基本台帳に記録されている方で、下記の1、2に該当する方

  1. 平成9年4月2日生まれ~平成18年4月1日生まれの女性(積極的勧奨を差し控えていた時期の平成25年度~令和3年度に接種対象であった方)
  2. 任意での接種回数を含めて、3回の接種が完了していない未接種者・接種中断者

※なお、平成18年4月2日~平成20年4月1日までに生まれた女性の方も、定期接種の対象期間(~高校1年生相当年齢)を過ぎてしまった場合は、令和7年3月31日までキャッチアップ接種の対象となります。ただし、キャッチアップ接種用の依頼書が必要です。

 

令和4年度

令和5年度

令和6年度

平成18年4月2日~平成19年4月1日生まれの方

定期接種期間

キャッチアップ接種期間

平成19年4月2日~平成20年4月1日生まれの方

定期接種期間

キャッチアップ

接種期間

キャッチアップ接種の実施期間

令和4年4月1日~令和7年3月31日までの3年間

※3回の接種を完了するまでに十分な期間が設けられていますが、希望される方は、なるべく早く接種しましょう。

注意事項

  • この予防接種により期待される効果や、予想される副反応などについて、接種を受けるご本人もよく理解した上で受けましょう。
  • 令和4年度から満16歳以上の方は、予防接種を受けるかどうかについて、保護者の同意は必要なく、本人の同意の有無によって接種の実施を判断できるようになりました。
  • 接種当日は急な体調変化を来たす恐れもあるため、ご家族などの同伴をお勧めします。
  • 妊娠または授乳中の方は、基本的には、出産後の授乳を終えてから接種をしましょう。接種を中断した場合は、標準的なスケジュールで接種できない場合のスケジュールに沿って進めましょう。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を受けた後は、体調に変化がないか十分に注意してください。筋肉注射という方法で接種しますが、注射針を刺した直後から、強い痛みやしびれを感じた場合はすぐに医師にお伝えください。痛みや緊張等によって接種直後に一時的に失神や立ちくらみ等が生じることがあります。接種後30分程度は背もたれのある椅子に座っていただき、安静にしてください。前に倒れる場合がありますので、注意して様子を観察してください。

積極的接種勧奨の差し控え期間に自費で接種した方へ(償還払い)

接種費用の払い戻し(償還払い)について

積極的勧奨を差し控えている間に、定期接種の年齢を過ぎて(高校2年生相当以降)、HPVワクチン(サーバリックスまたはガーダシル)を国内で、自費で接種された方を対象に、接種費用の払い戻しをしています。

対象者

以下1~5のすべてに該当する方

  1. 平成9年4月2日から平成17年4月1日までの間に生まれた女性
  2. 令和4年4月1日時点で串本町の住民基本台帳に記録されている(されていた)方
  3. 高校1年生相当の年の3月31日までに定期接種において3回の接種を完了していない方
  4. 高校2年生相当の年の4月1日から令和4年3月31日までに日本国内の医療機関でHPVワクチン(サーバリックスまたはガーダシル)の任意接種を受け、実費を負担した方
  5. 払い戻しを受けようとする接種回数分について、キャッチアップ接種を受けていない方

申請方法(必要書類)

以下を準備していただき、来所または郵送にて申請してください。

  1. ヒトパピローマウイルス感染症に係る任意接種償還払い申請書PDFファイル(324KB)このリンクは別ウィンドウで開きます
  2. 被接種者の氏名・住所・生年月日が確認できる書類の写し(申請者と被接種者が異なる場合は双方のもの)※申請時住所記載の住民票、運転免許証、健康保険証(両面)などいずれかひとつ
  3. 振込口座の通帳のコピー(金融機関名、支店等、口座番号、口座名義人がわかるもの)
  4. 接種費用の支払いを証明する書類(領収書及び明細書、支払証明書等)※原本に限ります
  5. 接種記録が確認できる書類(母子健康手帳の写し等) 

※上記がない場合には、医療機関が発行するヒトパピローマウイルス感染症に係る任意接種償還払い申請用証明書PDFファイル(239KB)このリンクは別ウィンドウで開きますで代えることができます。(ただし、本証明書記載に伴う文書料は償還払いの対象外です。)

償還額

償還額はHPVワクチンの任意接種を受ける際に支払った実費となります。ただし、交通費、宿泊費、文書料等は除きます。また、接種費用を証明できない場合は、町の規定額を支払います。

申請期限

令和7年3月31日まで

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンですべてのHPV感染を予防することはできません。

子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、経過観察や負担の少ない治療につなげることができます。

ワクチン接種を受けた方も、接種を見送った方も、20歳になったら必ず定期的にがん検診を受けましょう。

※Q&Aや、リーフレットなど、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関する特集ページです。

予防接種や感染症全般について

「感染症・予防接種相談窓口」では、HPVワクチンを含む予防接種、インフルエンザ、性感染症、その他感染症全般についての相談にお答えします。

【電話番号】 0120-331-453(※令和5年4月1日から電話番号が変わりました)
【受付時間】 午前9時から午後5時まで(土日祝日、年末年始を除く)

※行政に関するご意見・ご質問は受け付けておりません。
※この相談窓口は、厚生労働省が業務委託している外部の民間業者により運営されています。

HPVワクチン接種後に、健康に異常があるとき

まずは接種を受けた医師または、かかりつけの医師にご相談ください。
各都道府県に「ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関」があります。

協力医療機関受診について、接種を受けた医師または、かかりつけの医師にご相談ください。

HPVワクチン接種後に症状が生じた場合

各都道府県において相談窓口が設置されています。

和歌山県:福祉保健部健康局健康推進課 

【電話番号】073-441-2657
【受付時間】午前9時から午後5時45分まで(土日祝日、年末年始を除く)

予防接種による健康被害救済に関する相談

まずは串本町子育て世代包括支援センター予防接種担当に相談してください。
HPVワクチンを含むワクチン全体の健康被害救済制度については、「予防接種健康被害救済制度PDFファイル(587KB)このリンクは別ウィンドウで開きます」をご覧ください。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの協力医療機関の皆様へお願いです。

ワクチンに関する知識が少ない方、接種すべきか判断できずに困っている方、接種に不安を抱いている方などが多くいらっしゃることが想定されます。接種にあたりましては、ご本人と保護者にワクチンの有効性とリスクに関する十分な情報提供とコミュニケーションを図った上で実施するようお願いいたします。

また、ワクチンの接種後の体調変化等に関するご相談を受けられた場合には、ワクチン接種との関連を疑って症状を訴える患者様がいることを念頭に置きつつ、受容や共感の気持ちを持って傾聴し、診療にあたっていただきますようお願いいたします。

※国が医療機関向けに作成したリーフレット「医療従事者の方へ~HPVワクチンに関する情報をまとめています~PDFファイル(1686KB)このリンクは別ウィンドウで開きます」を掲載します。

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