町の公式見解(2)・ 串本町古座川町衛生施設事務組合の公式見解(1)【令和2年10月29日公表】

清水健太郎町議会議員が発行された10月24日の新聞折り込みに、町民の皆さまが誤解されるような記述が多々ありましたので、町ならびに串本町古座川町衛生施設事務組合としての公式見解をご報告いたします。

串本町長 田嶋 勝正
串本町古座川町衛生施設事務組合 管理者 串本町長 田嶋 勝正

病院関係記事に対する公式見解(くしもと町立病院より)

先日新聞折り込みされた清水議員発行の『清水健太郎 議会だより』に記載のあった“くしもと町立病院の赤字”の記事について、公式見解を述べます。どちらの見解が理にかなっているかどうか、町民の皆さんでご判断いただければ幸いです。
※長文、ご容赦ください。

(病院側が赤字額を)「これ以上減らすことは無理。何か提案してくれ」と答弁したとの記事について

見ようによっては、「清水議員に対して、赤字解消のための助けを求めている」ようにも見えますが、そうではありません。いくら説明しても理解を得られず、赤字解消の具体案を示すことのない清水議員に対して、「それなら議員の考えている策を示してください。」という意味で答弁したものです。

「各診療科毎の収支を出すべき。収支という最も基本的なデータすらないと分析できない」との清水議員からの発言に対し、事務長が「集計していない」と答弁したとの記事について

けっして怠慢で集計していない訳ではありません。診療科毎の“収入”については集計していますし、議会にもお示ししています。集計していないのは、診療科毎の“支出”です。
では、なぜ診療科毎の支出を集計していないのか。病院の支出には、人件費や医療機器の購入費および保守料、医薬品や医療材料の購入費等、様々な経費が含まれます。たとえばCTやMRIの購入費、また毎年の保守料を診療科毎の経費に振り分けるには、撮影件数等で按分するほかなく、ほとんど意味がありません。仮に清水議員の主張どおり診療科毎の経費を算定したとして、CTやMRIの撮影件数の多い外科系の場合、「経費削減のため、診療に必要な撮影件数を減らすことも考えなければならないのでしょうか?」。これでは肝心な患者様の治療に支障がでてしまいます。CTやMRIだけをとってもそういう問題があります。
人件費についても同じことで、当院のような小規模総合病院では、看護師は各科にまたがって(兼任)で患者様の看護にあたっています。この看護師の人件費については、勤務時間に応じて診療科毎に按分することは可能です。しかしこれについても、たとえば「内科の人件費を減らすために、内科の看護師を減員あるいは給与額の低い若い看護師を配置することも考えなければならないのでしょうか?」。現実問題、そういうことはできません(地方では看護師の確保に苦慮しています)。ましてや検査技師等の人件費を、科毎に振り分けることはできるはずもありません。
重要なのは「医療機器の購入や保守料、診療材料費や医薬品費等の経費を、個々にいかに削減するか」であると考えています。ですから「診療科毎の支出額(経費)は集計していない。」と答弁したのです。

※経費削減については、経営トップだけでなく、医師や技師、事務方が入念に協議したのち業者と値引き交渉しており、当院でもその成果は確実に表れています(後述)。

「議会みたいな素人がそれを見て何をするのか」と町長が発言したとの記事について

 議員から「経営改革のため、今後も“診療科毎の増収”と、“全体的な支出削減”に力を注げ。」と言われるのなら納得です。しかし、前述したように、「診療科毎の支出額(経費)を集計していない理由」を、病院側から何度も説明し、ほとんどの議員が理解される中、また近大医学部附属堺病院の病院長を経験し、同院の経営を大きく立て直した竹村管理者が、就任2年目から収支改善の実績(後述)をあげているにもかかわらず、診療科毎の支出額に固執して経営批判を繰り返す清水議員に対し、「病院経営の知識も経験もない議員が、一体、診療科毎の経費を見て、どのように改革しようというのか。」。・・・町長の発言は、議会全体に述べたのではなく、清水議員個人に向けられたものです。

「こんな発言をする町長は当然、収支なんか考えた事もないのでしょう。だから串本病院の赤字も解消できないのです。」との記事について

田嶋町長は赤字額を極力抑制(経営改革)するべく、平成29年度に、近畿大学医学部の主任教授でもあり、また同医学部附属堺病院の病院長として経営改革の実績のあった竹村教授に白羽の矢を立てました。当時、竹村教授はまだ定年を5年残しており、周囲からは「絶対に引き受けてもらえない。」との声がありましたが、田嶋町長が、本人はもとより、近畿大学本学の役員に直談判し、結果、竹村教授の串本町病院事業管理者就任が実現しました。
過疎化・少子化の進む町にあって、患者数も年々減り、経営的に非常に厳しい状況下ではありますが、管理者就任2年目(令和元年度決算)にして、医業収益で約9,000万円の増収、医業費用では約6,000万円(減価償却費を除くと約3,000万円)を削減し、結果、経常収支も約1億2,000万円改善することができました。

総論

公立病院は、本来の医業収入のほか、町(一般会計)からの繰入金により運営しています。
くしもと町立病院の場合、国が示す繰入基準とは別に、2億5,000万円を繰り入れていただいていますが、この額が低ければ低いほど一般会計への負担が軽減されることは重々承知しています。
当院と同等の診療内容を提供する医院やクリニックが町内に相当数ある場合、もしくは大規模病院や高度急性期病院までの所要時間が20分程度以内の立地であれば、経営改善のために赤字診療科を廃止あるいは縮小することも選択肢の一つではあります。しかしながら、限られた医院数と診療科、そして基幹病院(新宮市立医療センターや紀南病院等)まで40分以上を要する当院(当町)では、地域医療を守るために自院完結型を目指し、「たとえ赤字診療科であったとしても、医療という最も重要な福祉行政を可能な限り存続させる責務がある。」ことをご理解いただきたいと存じます。

参考/自治体病院経営ハンドブック(地方公営企業法の解説本)より

地方公営企業は、サービスを供給し、それに要する経費を料金で回収して新たなサービスを生産するという経済活動を繰り返していくという点で民間企業と同じであるが、もともと採算をとることが困難な活動であっても公共的な見地から採算を度外視して行うことを求められる場合があり、このような経費については一般行政としての経費負担が行われる。

宝嶋クリーンセンター大規模改修に関する公式見解

【大規模改修の重大な問題点】について

7.5億円の根拠となる資料を請求しましたが、その資料を当局は持っていませんでした。つまり、7.5億円は根拠のない金額ということです。とありますが、7.5億円の根拠となる見積書はウォーターエージェンシー(WA)から衛生組合事務局に提出されております。平成31年第1回組合定例会において、精密機能検査を基に算出した宝嶋クリーンセンター運転期間延長に係る改修計画を議会資料として説明を行い、予算要求をしております。資料なしに予算編成および予算要求はできません。
また、8.8億円は建設当時の落札価格であり、7.5億円は設計(見積)価格です。建設当時の予定価格は約23億円であり、落札業者が企業努力により経費削減して金額を下げております。落札時から14年以上経過しておりますので、物価・人件費その他諸経費の金額が上昇していることは明白であります。そもそも、14年以上前の落札価格と現在の設計額では比較対象になり得ません。

【更なる問題】について

「44箇所の改修で7.5億円」という説明だったのに、議会に隠して「20箇所の改修で7.3億円」に変えていました。とありますが、令和元年第1回組合臨時会において、当初の改修計画から設計変更して改修工事を実施することを説明し、令和元年第2回組合定例会において、設計変更後の改修箇所の資料を提出しておりますので、「議会を騙した」という事実は一切ございません。
また、後段において、修理から新品に替える事に変更した理由は、WAであれば何処を修理すればよいかデータを持っているが、別の会社ではそれが解らないから新品に交換になるとの話でした。とありますが、このような話をしたことはございません。
新品に交換する理由といたしまして、現在宝嶋クリーンセンターは施設稼働から14年経過しております。当初の計画では、これまでの運転管理の中で行ってきた修繕では補えなかった主要機器等を含めた包括的な修繕を計画しておりました。しかし、施設内の設備が全体的に劣化してきている現状であります。各設備の更新を行うことで耐用年数の更新・設備機器の性能水準の回復が期待でき、今後の経費面・機能面において効果的であると判断したためであります。
項目数は減少しておりますが、単体機器の交換ではなく設備そのものを入れ替えることとなりますので、一機器に対する費用が異なることは容易にご理解いただけると思います。
また、今回の大規模改修工事では多額の費用を要する主要部分について実施しており、実施できなかった項目については、今後10年間の包括運転期間を通じて平準化しながら行ってまいりますので、今回と同程度の工事を実施する予定はございません。

これまで議員の質疑に対し、資料を提示し誠心誠意説明してきたつもりでありますが、ご理解いただけない現状は誠に残念でございます。

PCB含有安定器の調査委託料に関する公式見解

PCBは、毒性が強く環境や人体に対して悪影響を及ぼすことから世界各国で使用が禁止されており、環境省では、和歌山県のPCB廃棄物の処理期限を令和3年3月31日としています。昭和52年3月以前に建築された学校施設等の公共施設においては、事業用蛍光灯に内蔵されている安定器の中にPCBが含まれているものがあることから、当町では、令和元年度に学校施設、令和2年度は児童福祉施設、観光施設および社会教育施設を対象に計画的に調査を行っております。
清水健太郎議員の議会だよりでは、社会教育施設のPCB検査の現場調査費について、日当33万円は当局の説明違いとありますが、予算審議の際の説明では、「調査対象は潮岬、有田、和深、赤瀬の各支館」とし、「現場の調査ということで、1施設当たり大体37万円ほどの見積もりです。赤瀬小学校の場合はかなり大きくなってまいりますので88万円です。」と説明しており、何人日かかるのかの質問には「3人掛ける2日」と、また、蛍光灯の安定器は「天井に入って一つずつ調べていくといったかなり手間がかかる作業」と説明していますが、日当33万円との説明は行っておりません。
予算審議の反対討論の場で、清水議員から調査の人件費として6人で268万4千円、1人1日44万7千円の発言がございましたので、清水議員が潮岬から和深までの4施設のすべての蛍光灯の安定器を「3人掛ける2日」で調査するものと誤解されていることに気づき、採決の際には当局側は答弁できないため、採決終了後、潮岬、有田、和深の各支館1施設当たり3人掛ける2日であることを清水議員に説明し、後日、議会において、4施設の現場調査費が税込218万9千円であることの見積書を提出したうえで、和深支館で6人日、潮岬支館で6人日、有田支館で6人日、赤瀬支館で24人日の見積もりであることを説明しております。
なお、議会だよりでは「修正案を出しましたが、否決されました。」とございますが、一般会計予算の採決前に清水議員より動議がありましたが、委員会付託の動議であり、予算修正動議は提出されておりません。予算修正動議を提出する場合は、修正案を作成し2名以上の賛成者を付して、書面での提出が必要となります。
また、委員会付託動議を日程に追加することは否決されております。

予算の採決の際には、PCB廃棄物処理の危険性や処理および調査の困難等をご理解のうえ、また、社会教育施設に合わせて提出していた児童福祉施設および観光施設におけるPCB含有調査費用もご勘案のうえで、多くの議員から賛同していただいたものと理解をしております。

くしもとこども園の新設に関する公式見解

建設に至った経緯

平成23年に発生した『東日本大震災』以降、『串本町保育環境検討委員会』が設立され、その中で、低地にあり、老朽化が進む園の今後について、安全な場所への移転の答申が出されました。また、保護者の皆さまからも、高台への移転の強い要望があったことから、町内保育所・こども園の新設移転計画を進めてまいりました。
平成26年度には上野山地区に、上野山保育所と西向保育所を統合した新園舎が完成しました(現在の上野山こども園)。
現在は、くしもとこども園(旧串本保育所・串本幼稚園)の高台への新設移転に取り組んでいます。
移転先は、保護者からのアンケート調査結果を踏まえて西の岡造成地と決め、現在、高速道路の工事用道路として整備中のサンゴ台中央線(令和4年中に一般供用予定)脇に土地の造成が行われています。
昨年度より設計が始まり、来年度から園舎の建設に着工する予定となっており、令和5年1月の開園を目指し事業が進められています。

事業費について

建設費用については、働き方改革および東京オリンピックの影響等から、6年前の上野山こども園建設時と比べて、建築資材単価、人件費等がかなり高騰しており、消費税も当時の5%から10%に増税されています。
また、上野山こども園は民間の施設であり、くしもとこども園のような公共施設とでは、管理書類等による諸経費も異なってきます。
こういったことから、同規模の園であっても、建築費は当時と比べ高くなります。
また、現在出されている建築費用については、国の建築着工統計調査を基準とし、類似する建物の面積単価より算出しているため、概算費用としては妥当であると考えます。

こども園は、子どもたちが朝早くから夕方まで1日のうちの長い時間を過ごす施設であるため、子どもたちにとって快適であり、安心して過ごせる施設でなければなりません。
そのために、どうしても必要なものか、あればよいというものか、代用できるものはないか、などをきちんと見極め、コスト削減も十分に意識しながら、設計業者、関係機関と協議し、設計を進めています。

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すべての議員が持つ「議員必携」には、以下のように書かれています。

 

「ただ、批判のみに終わる一人芝居では能がない。議員多数に支持され、執行部に共鳴させ実行させなければ、その価値がない。」