○串本町消防本部救急業務実施要綱
令和4年7月15日
消防本部訓令第1号
串本町救急業務実施要綱(平成17年串本町消防本部訓令第7号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急隊等(第3条―第7条)
第3章 救急自動車(第8条―第11条)
第4章 救急活動(第12条―第23条)
第5章 医療機関等(第24条)
第6章 救急自動車の取扱い(第25条・第26条)
第7章 救急業務計画等(第27条・第28条)
第8章 応急手当の普及啓発(第29条)
第9章 雑則(第30条―第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に基づく救急業務について必要な事項を定め、これに関連する業務等の効率的な運営を図ることを目的とする。
(用語の意義)
第2条 この訓令における用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
(1) 救急業務 法第2条第9項に規定する救急業務をいう。
(2) 救急事故 法第2条第9項及び消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「施行令」という。)第42条に規定する救急業務の対象となる事故及び疾病をいう。
(3) 救急救命士 救急救命士法第2条第2項に規定する救急救命士をいう。
(4) 救急隊員 施行令第44条第5項に該当する者又は救急救命士をいう。
(5) 救急自動車 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)及び道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に定める緊急自動車の基準に適合し、救急業務を行うために一定の構造及び設備を有する自動車をいう。
第2章 救急隊等
(救急隊の編成)
第3条 救急隊は、救急自動車1台につき、救急隊員3人以上をもって編成する。ただし、消防署長(以下「署長」という。)が必要と認める場合は、救急自動車以外の車両をもって臨時に救急隊を編成することができる。
2 消防長は、救急救命士の資格を有する救急隊員1人以上をもって救急隊を編成するよう努めなければならない。
(救急隊長)
第4条 救急隊を編成する救急隊員のうち1人を救急隊長(以下「隊長」という。)とし、消防士長以上の階級の者をもってこれに充てる。
2 隊長は、救急隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うよう努めなければならない。
(教育訓練)
第5条 署長及び和歌山県救急救命協議会の認定を受けた指導救命士は、救急隊員に対し、救急業務に必要な学術及び技能を習得させるため、常に教育訓練を行うよう努めなければならない。
(救急隊員の服装)
第6条 救急隊員は、救急業務を実施する場合は、感染防止衣、マスク、手袋等を着用し、必要に応じてゴーグル等を着用するものとする。
2 救急隊員は、救急業務を実施する場合は、原則として保安帽を着用するものとする。ただし、安全が確保された場合は、アポロキャップを着用することができる。
(救急隊員の心得)
第7条 救急隊員の心得は、次のとおりとする。
(1) 救急業務に関する関係法令の規定を遵守すること。
(2) 救急業務の特殊性を自覚し、救急技術の向上に努めること。
(3) 常に身体及び着衣の清潔保持に努めること。
(4) 傷病者に対しては、親切及び丁寧を旨とし、その傷病者に羞恥不快の念等を抱かせないよう努めること。
(5) 業務上知り得た秘密を他に漏らさないこと。
第3章 救急自動車
(救急自動車の要件)
第8条 救急自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 救急隊員3人以上及び傷病者2人以上を収容し、かつ第11条第1項の資器材を積載できる構造のものであること。
(2) 四輪自動車であること。
(3) 傷病者を収容する部分の大きさは、次のとおりであること。
イ 長さ1.9メートル、幅0.5メートル以上のベッド1台以上及び担架2台以上を収納し、かつ救急隊員が業務を行うことができる容積を有するものであること。
ロ 室内の高さは、救急隊員が業務を行うに支障がないものであること。
(4) 十分な緩衝装置を有するものであること。
(5) 適当な防音、換気及び保温のための装置を有するものであること。
(6) その他救急業務を実施するために必要な構造及び設備を有するものであること。
2 救急自動車の通行に十分でない幅員の道路を通行して救急業務を行う必要がある場合は、前項の規定を適用しないことができるものとする。
(高規格救急自動車の配置)
第9条 消防長は、救急隊員及び准救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第6条に規定する応急処置を行うために必要な構造及び設備を有する救急自動車を配置するよう努めるものとする。
(救急自動車の標示)
第10条 救急自動車の側面には、消防本部名又は消防署名若しくは救急隊名を標示する。
(救急自動車に備える資器材)
第11条 救急自動車には、応急処置及び通信等に必要な資器材で別表第1に掲げるものを備えるものとする。
第4章 救急活動
(救急隊の出動)
第12条 消防長又は署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数、傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
(出動の区域)
第13条 救急隊の出動区域は、串本町及び古座川町全域とする。ただし、区域外において重大な事故が発生し、当該市町村消防長の要請を受けたとき、又は特に消防長がその必要を認めたときはこの限りではない。
(口頭指導)
第14条 署長は、救急要請時に指令室又は現場出動途上の救急自動車等から救急現場付近にある者に電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第15条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
(医師の要請)
第16条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(死亡者の取扱い)
第17条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。
(関係者の同乗)
第18条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、これに応ずるよう努めるものとする。
(災害救助法における救助との関係)
第19条 救急業務は、災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用される場合においては、同法の規定による救助に協力する関係において実施するものとする。
(感染症と疑われる者の取扱い)
第20条 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症と疑われる傷病者を搬送した場合は、救急隊員及び救急自動車の汚染に留意し、直ちに所定の消毒を行い、この旨を消防長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、同法第27条に規定する消毒を講ずるものとする。
(要保護者等の取扱い)
第21条 消防長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合においては、同法第19条に規定する機関に通報するものとする。
(出動の記録)
第22条 隊長は、救急出動を行った場合は、救急出動報告書(別記第1号様式)に次に掲げる事項並びに活動概要等所要の事項を記録しておくものとする。
(1) 救急事故発生年月日
(2) 入電時刻
(3) 発生場所
(4) 発生原因
(5) 傷病者の住所・氏名・年齢・性別
(6) 傷病の部位・程度
(7) 傷病者を搬送した医療機関名等
2 救急隊員は、傷病者を搬送し、医療機関に引き渡した場合は、救急活動記録票を提出し、初診医署名、搬入後診断名等の記載を求めるものとする。
(家族等への説明)
第23条 救急隊員は、傷病者の傷病の状況により必要があると認める時はその者の家族等に対し、傷病の程度又は状況等を連絡するよう努めるものとする。
第5章 医療機関等
(医療機関との連絡)
第24条 消防長は、救急業務の実施について医療機関と常に密接な連絡をとるものとする。
2 消防長は、前項の規定により知り得た医療機関における空床の状況等の情報については、必要に応じ、近接する他の消防本部の消防長と相互に情報を交換するよう努めるものとする。
第6章 救急自動車の取扱い
(消毒)
第25条 署長は、次に定めるところにより、救急自動車及び積載品等の消毒を行うものとする。
(1) 定期消毒 月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
(3) 消毒室 適宜
(消毒の標示)
第26条 署長は、定期消毒を実施したときは、消毒実施表(別記第3号様式)に記入し、救急自動車の見やすい場所に標示しておくものとする。
第7章 救急業務計画等
(救急業務計画)
第27条 消防長は、特殊な救急事故が発生した場合における救急業務の実施についての計画を作成しておくものとする。
2 署長は、毎年1回以上前項に定める計画に基づく訓練を行うものとする。
(救急調査)
第28条 署長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次に掲げる事項について調査を行うものとする。
(1) 地勢及び交通の状況
(2) 救急事故の発生するおそれのある対象物の位置及び構造
(3) 医療機関等の位置及びその他必要な事項
(4) その他消防長が必要と認める事項
第8章 応急手当の普及啓発
(住民に対する普及啓発)
第29条 署長は、住民に対する応急手当の普及啓発活動を計画的に推進するよう努めるものとする。
第9章 雑則
(救急救命士の行う特定行為)
第31条 傷病者の救命を図るため救急救命士が特定行為を行う場合に必要な事項は、救急救命士の行う特定行為に関する救急活動要綱で別に定める。
(その他)
第32条 この訓令に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、公布の日から施行する。
別表第1(第11条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 血中酸素飽和度測定器 検眼ライト 心電計 体温計 聴診器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 気道確保用資器材 吸引器一式 喉頭鏡 酸素吸入器一式 自動式人工呼吸器一式 自動体外式除細動器 手動式人工呼吸器一式 マギール鉗子 |
創傷等保護用資器材 | 固定用資器材 創傷保護用資器材 |
保温・搬送用資器材 | 雨おおい スクープストレッチャー 担架 バックボード 保温用毛布 |
感染防止・消毒用資器材 | 感染防止用資器材 消毒用資器材 |
通信用資器材 | 無線装置 |
その他の資器材 | 懐中電灯 救急バッグ トリアージタッグ 膿盆 はさみ ピンセット 分娩用資器材 冷却用資器材 |
備考
1 気道確保用資器材は、経鼻エアーウェイ及び経口エアーウェイを含む気道確保に必要な資器材をいう。
2 吸引器一式は、吸引用カテーテルを含む口腔内等の吸引に必要な資器材をいう。
3 酸素吸入器一式は、酸素ボンベ、酸素吸入用鼻カニューレ及び酸素吸入用マスクを含む酸素吸入に必要な資器材をいう。
4 自動式人工呼吸器一式は、換気回数及び換気量が設定できるものとし、手動式人工呼吸器及び酸素吸入器に含まれる資器材と重複するものは共用できるものとする。
5 自動体外式除細動器は、救急救命士が使用するものについては、心電図波形の確認及び解析時期の選択が可能なものが望ましく、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
6 手動式人工呼吸器一式は、人工呼吸用のフェイスマスクを含む手動による人工呼吸に必要な資器材をいう。
7 固定用資器材は、副子及び頸椎固定補助器具を含む全身又は負傷部位の固定に必要な資器材をいう。
8 創傷保護用資器材は、三角巾、包帯及びガーゼを含む創傷被覆に必要な資器材をいう。
9 感染防止用資器材は、ディスポーザブル手袋、ディスポーザブルマスク、ゴーグル、N95マスク及び感染防止衣を含む感染防止に必要な資器材をいう。
10 消毒用資器材は、各種消毒薬及び各種消毒器を含む消毒に必要な資器材をいう。
11 分娩用資器材は、臍帯クリップを含む分娩に必要な資器材をいう。
12 冷却用資器材は、ディスポーザブル瞬間冷却材等とする。
別表第2(第11条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血糖値測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 呼気二酸化炭素測定器具 自動式心マッサージ器 ショックパンツ 心肺蘇生用背板 特定行為用資器材 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡 |
通信用資器材 | 携帯電話 情報通信端末心電図伝送等送受信機器 |
救出用資器材 | 救命綱 救命浮環 万能斧 |
その他の資器材 | 汚物入 在宅療法継続用資器材 洗眼器 リングカッター |
その他必要と認められる資器材 |
備考
1 特定行為用資器材は、救急救命士法施行規則(平成3年厚生省令第44号)第21条に定める救急救命処置に必要な資器材とし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。
2 ビデオ硬性挿管用喉頭鏡は、チューブ誘導機能を有するものとし、地域メディカルコントロール協議会の助言等に応じて備えるものとする。